- 水槽の脳とは?
水槽の脳とは、思考実験のひとつです。
正しい知識とは何か、意識とはいったい何なのか、といった問題、
そして言葉の意味や事物の実在性といった問題を議論する際に使用されるものです。
「水槽の中の脳」、「培養槽に浮かぶ脳」、「桶の中の脳」、「水槽脳仮説」などともいわれています。
ややこしいので、順番に解説していきたいと思います。
■思考実験って?
思考実験とは、実際にやるのではなく、頭の中だけで想像して考えた実験のことです。
化学の基礎原理に反しない限りで、極端に単純化、簡易化された状況で想像するものです。
たとえば、「ものが滑って移動する」ということを考えると、
実際は摩擦だとか表面の小さなデコボコなどで減速したり停止したりしますが、
思考実験の中だとそういった摩擦だとか何だとかの要素は全部除外され、
「(壁などにぶつかるまで)ずっと滑り続ける」ようになります。
そういったちょっとおかしな想像の世界で行われるのが思考実験というものです。
■水槽に浮かぶ脳みそ
水槽の脳とは、
「あなたが体験しているこの世界は、実は水槽に浮かんだ脳が見ているバーチャルリアリティなのではないか」
というものです。
現実とは、水槽の中で電極につながれている脳が見ている幻覚ではないでしょうか?
■似た説話
水槽の脳と似た内容のものは、他にたくさんあります。
中国の昔の偉人、荘子の説話にはこうあります。
「夢の中で胡蝶(蝶のこと)としてひらひらと飛んでいた所、目が覚めたが、
はたして自分は蝶になった夢をみていたのか、それとも今の自分は蝶が見ている夢なのか」
これもまさに、水槽の脳と同じことです。
荘子の説話は最終的に「蝶も人間も同じ自分であり、自分が蝶か人間かは些細な問題である」
という結論に導かれるのですが、そこはちょっと置いておきましょう。
「蝶になった夢を見ていたのか、蝶が見ている夢なのか」という部分だけ見てくださいね。
また、ややネタバレになってしまいますが、
映画「マトリックス」も機械によって水槽に漬けられた脳が見ている仮想現実という設定となっています。
最近では「VR技術でオンラインゲームの世界に」といった内容のライトノベルなんかもこれらに含まれると思います。
この世界はシミュレーションゲームで、誰かが操作しているものにすぎないなんて仮説も「水槽の脳」から派生した考え方です。
実際に認識しているこの世界は虚構なのかもしれない。そう考えるとゾクゾクしませんか?
でもこの世界が水槽の脳が見ている夢だとするなら、もうちょっといい夢見てほしいなぁって思います。
年収何億円のイケメン美女の悠々自適生活とか…そういう夢を見てほしいなぁ…。