- PFスタディとは?
PFスタディとは、Picture Frustration Studyの略で、
1948年、米国ワシントン大学心理学教授ソールローゼンツアイクによって考案された心理テストです。
日常的に遭遇する欲求不満の場面を絵で示し、それに対する反応をみるというテストです。
欲求不満というと、ちょっとエッチに聞こえるかもしれませんが、
心理学の世界での欲求とは、「何かをしたい」という願い全般を指します。
食欲、性欲、睡眠欲と言った本能的なことから、経済や健康といった安全への欲求、
自分の居場所が欲しいという社会的な欲求、人に認められたいという承認欲求など、あらゆる「こうしたい」という欲のことです。
このあらゆる欲求が満たされない、欲求が侵害された場面に対して、どう答えるのかというテストがPFスタディです。
- 実際にどういうもの?
PFスタディは、怒られたり責められたりしている人がどう答えるかということを想像して答えるテストです。
たとえば、走る車が跳ねた泥が自分の服についてしまい、車の持ち主が謝っているという場面に、
泥を跳ねられた側としてどう答えるかを想像し、答えます。
「お前のせいで服に泥がついた!クリーニング代を払え!」とか
「仕方ないことです。気にしないでください」とか、あるいは答えずに立ち去るという回答もあるかもしれません。
PFスタディは被験者の年齢によって、成人用、青年用、児童用といったように年齢が分かれています。
被験者の年齢層の人間に日常的にありえる光景を見せなければテストにならないためです。
小学生の子供に「上司に怒られるサラリーマンの絵」なんて見せてもいまいちどういう状況かわからないですし、
逆にお年寄りの被験者に「公園で遊び場をめぐって喧嘩する子供の絵」なんて見せても絵に感情移入しにくいですからね。
実際のPFスタディはこういうふうに提示された絵の中の吹き出しに回答を書き込んでいきます。
年齢層ごとにそれぞれ24問あり、おおよそ20分ほどで終わります。
- 何がわかるの?
PFスタディは投影法に分類される心理テストです。
投影法とは、その人が図形を見て感想を抱く時、自分の内心を投影しているのだという説に基づくテスト方法です。
普段意識しない内心が投影された回答を分析することによって、
自分のパーソナリティや無意識的な衝動や欲動、知覚パターンなどを理解することができます。
提示された絵に対し、被験者がどのように反応するかによって、被験者の反応の背景に潜む人格の独自性が採点されます。
それによって、被験者がどういうパーソナリティを持っているかを分析します。
- どうやって知るの?
投影法のテストすべてに共通することですが、まず内容より先に「どのように書いたか」といったこを分析します。
問題文である絵を見てから回答を書き始めるまでの時間や、筆跡の乱れなどをチェックします。
筆跡の濃淡は回答に対する自信のあらわれを見ることができますし、
文章を書き始めるまでが長いと、頭の中で文章を組み立ててから書き始める慎重なタイプだということがわかります。
さて内容への分析ですが、「攻撃の方向」と「反応の型」の組み合わせによって採点が行われます。
欲求不満に対して誰を責めるのか、またどのように責めるのかということを見ます。
たとえば、走る車が跳ねた泥が自分の服についてしまい、
車の持ち主が謝っているという場面に対し「クリーニング代を払え!」と相手を責めた時、
外罰的な反応であると判断されます。
「水たまりのそばにいた自分が悪い」という解答をした時、内罰的だと判断されます。
「仕方ないことです、気にしないでください」と答えたら相手も自分も責めないという無罰的であるとされます。
反応に対しても障害優位型、自我防衛型、要求固執型の3つの型があります。
例で言えば、「ここに水たまりがあったせいで」と欲求不満の原因となった障害の指摘をした場合は障害優位型、
「服が汚れた」ということを主張した場合は自我防衛型、
「服が汚れたのできれいにしなければならない」ということを重視した回答の場合は要求固執型ということになります。
他罰的、内罰的、無罰的の3つと障害優位型、自我防衛型、要求固執型の3つの組み合わせの合計9つのカテゴリーと、
そのどれにも当てはまらない変種型の合計10種類のカテゴリーによって反応が採点されます。
こうして自分のパーソナリティを知ることができるのです。
詳しく知りたいのであれば、近くの心療内科や精神科をたずねてみてください。