ヤマアラシのジレンマとは?

  • ハリネズミのジレンマともいいます

「ヤマアラシのジレンマ」をご存知でしょうか?

アニメ「エヴァンゲリオン」で有名になったあれです。

「エヴァンゲリオン」で引用されたその内容は、

要約すると「寄り添いあいたいが、寄り添うと互いに傷つけてしまう」というなんとも微妙に間違った解釈の上、

そこから傷の舐め合いや共依存がどうこうという話に広がっていきます。

違います。なんですかその表面だけさらったような内容は!!!

と憤慨極まりないので、今回は正しいヤマアラシのジレンマを覚えていただこうと思います。

 

  • 元は寓話

ヤマアラシのジレンマはドイツの哲学者ショーペンハウアーさんが考えた寓話を

心理学者のフロイトさんが論じて名付けられたものです。

要約して日本語訳すると以下の通りになります。

 

ある冬の寒い日、たくさんのヤマアラシたちが暖を求めて群がったが、

互いのトゲによって刺されるので、離れざるを得なくなった。

しかし再び寒さが彼らを駆り立てて、同じことが起きた。

結局、何度も群れては離れを繰り返し、互いに多少の距離を保つのが最適であるのを発見した。

これと同様に、社会における必要に駆り立てられ、人間というヤマアラシを集まらせるが、

多くのトゲや互いに性格の不一致によって不快を感じさせられる。

結局、交流において許容できるような最適の距離感を発見し、それがいわゆる礼儀作法やマナーである。

それを逸脱する者は、英語では「to keep their distance」(距離を保て)と乱暴に言われる。

この取り決めによって、初めて互いに暖を取る必要が適度に満たされ、互いの針で刺されることも無くなる。

とは言え、自らの内に暖かみを持つ人間は、人々の輪の外に居ることを好むであろう。

そうすれば互いに針で突いたり突かれたりすることも無いのだから。

 

おわかりでしょうか。

「エヴァンゲリオン」で引用されたヤマアラシのジレンマは最初の1行しか使っていないということに。

「お互いに適度な距離を保てば心地よく過ごせる」というのがまったく違う意味として引用されているということに。

心理学を学んだ人間としては憤慨ものですよ!!

 

  • ジレンマ

要はヤマアラシのジレンマというものは、

「自己の確立」と「相手との一体感」という2つの欲求の対立によって発生した板挟みの状況を回避するために

どちらにも偏らない適度な距離を保てばいいという話なのです。

そこまで踏み込んでしまえば「エヴァンゲリオン」におけるヤマアラシのジレンマとは、

「人類補完計画」の「みんな一緒の存在になろう」という他者との一体感という目的、

そこからの独立というテーマにつながってくるのですが……そういう意味で引用しているわけではないんですよね。

ということで、これを読んでいる皆様、本当のヤマアラシのジレンマというものを覚えられたでしょうか?

しっかり覚えてください。そして正しい意味で引用してください。

 

ちなみに、本物のヤマアラシは実際どう暖を取っているのかというと、頭などの針のない部分をくっつけ合ったりしているようです。

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