
- 趣味を仕事に
趣味がありますか?
ネットサーフィン、SNSでのおしゃべり、カフェ巡りやウィンドウショッピングなど、どんなものでもいいです。
大好きなことをやるだけでお金をもらいたい、趣味を仕事にしたい。そう思うことはありませんか?
しかし、そこには罠があるかもしれません。それが「アンダーマイニング効果」と呼ばれるものです。
- 趣味を仕事にした弊害
アンダーマイニング効果とは、内発的に動機づけられた行為に対して、
報酬を与えるなどの外発的動機づけを行うことによって、モチベーション(やる気)が低減する現象のことです。
つまり自発的に「やりたい」と思ってやっていたことが報酬をつけられることで急激にやる気がなくなるのです。
人には内発的動機と外発的動機というものがあります。
内発的動機とは内部から発生する動機のことで、つまり自ら「頑張りたい」「やりたい」という気持ちによるものです。
外発的動機とは外部から与えられた動機のことで、
「報酬をもらいたい」「評価がほしい」というものです。報酬や評価を目当てにした動機です。
SNSでのおしゃべりを趣味にしているひとが趣味を仕事にしたくて
「SNSで1つコメントするごとに100円」という業務を始めたとしましょう。
最初は好きなおしゃべりが出来て嬉しいと思いますが、
次第にSNSを使う理由が「おしゃべりすること」より「報酬をもらうこと」に変わっていきます。
この目的のすりかえにより義務感が出てきてしまい、モチベーションが低下していきます。
さらには、「お金がもらえないならやらない」と今後はもう報酬なしでSNSでコメントするのがバカらしくなってしまい、
SNSさえやめてしまいます。
自発的に勉強をしている子供にお小遣いをあげることもアンダーマイニング効果を起こしやすいです。
もちろん親としては応援の気持ちで良かれと思ってのことですが、
子供はお小遣いという刺激的な報酬によって「学びたい」という自主的な意欲が失われてしまうのです。
アンダーマイニング効果はお金や名声を報酬にした時だけに起きるとは限りません。
「褒める」という行動でさえ発生します。自主的なモチベーションが「褒められたいからやる」と目的がすり替わってしまいます。
- だからといって悪いことではない
だからといって報酬を与えることが悪いことということではありません。
褒められたい、認められたいから頑張るといったことのように行動を促すプラスの効果もあります。
これはエンハンシング効果と呼ばれています。
アンダーマイニング効果によってモチベーションの低下を起こさないためには、
自分の行動が内発的動機づけに基づくものか、外発的動機づけに基づくものかを慎重に見極めなければなりません。
こうしたことは決まった基準があるわけではないので、自分で試行錯誤することが大切です。
内発的なやる気が出たら、安易な外的報酬でそれを消さないように細心の注意が必要だということです。