
- アンダードッグ効果とは?
一生懸命なのにうまくいかない人、
頑張っているのに報われない人や不利な状況に追い込まれた人を応援したくなることは、
きっと誰にでもあると思います。
その心のはたらきを心理学用語でアンダードッグ効果といいます。
アンダードッグとは英語で「負け犬」を意味します。
- 判官ひいき効果
アンダードッグ効果は「判官ひいき効果」として政治の用語としても使われます。
その場合の意味は、選挙前の予測で不利とされた候補者に票が集まり、
逆に勝つという、選挙予測の効果のこととなります。
そもそもこの判官ひいきという言葉は平安時代の武将、源義経に由来します。
平氏を滅ぼして源平合戦の最大の功労者となった源義経ですが、その後は悲壮な最期を遂げることになりました。
そのその最期は多くの人の同情を引き、判官ひいきという言葉が生まれました。
ひとは、「弱きを助け強きをくじく」という言動に対しては、無批判に称賛する心理を持っています。
そして、その心理ゆえに、弱者の位置に立たされたものに対しては同情し、応援しようとします。
その心のはたらきをアンダードッグ効果といいます。
- 弱い者ひいき
しかしアンダードッグ効果は単に「弱い面を見せて同情を引く」ということではありません。
同情を誘う演出をしたとしても見えすいたものになってしまいます。
アンダードッグ効果が最も効果を発揮するには「頑張っているのに」「一生懸命なのに」という前提が必要です。
その前提によってアンダードッグ効果が生まれます。
たとえば甲子園の高校野球です。
高校野球はプロ野球よりずっとレベルが低いですが、甲子園のシーズンになると観客はあれほど応援します。
高校球児たちがあれほど応援してもらえるのは、彼らが一生懸命やってきたからです。
土日も夏休みも返上し、必死に汗を流してボールを追いかけてきたことを、みんな知っているからです。
だから観客も応援しようという気になり、たとえ大差で負けてしまっても選手の検討を称えます。
これがもし、ダラダラ気だるげにやっていたとするなら、同じ状況になってもアンダードッグ効果は生まれません。
誰も選手たちを応援しようとは思いません。
- 日常で使われるアンダードッグ効果
日常ではマーケティングでよく見られています。
「発注ミスしてしまいました! 半額にしますのでどうか買ってください!」
スーパーなどでこんなチラシを見たことはありませんか?
これはアンダードッグ効果を利用したマーケティングです。
この文面を見ることで、発注ミスした店員に同情が集まり、「半額だし買ってみようかな」と意識が生まれます。
しかしアンダードッグ効果はマーケティングになんでもかんでも有効というわけではありません。
ピンチなので助けてくださいと言われて「仕方ないな、助けてやるか」と思うのは身近なものだからです。
普段利用している慣れ親しんだスーパーだからこそ助けてやろうという気概が生まれるのです。
あなたもきっと、突然やってきた訪問販売員に
「ちょっと困っているので、どれでも安くしますから買ってください!」と言われたとしても戸惑ってしまいますよね。
それと同じです。
それは訪問販売員が初対面であり、どういう人なのかまったくわかっていないからです。
これがもし、いつも駆けずり回ってセールスしている姿を見ていたら、
「買うかはさておき、話ぐらいは聞いてやろう」と思ったりはしませんか?
- 一生懸命やれば結果がついてくる
「ダメでも良いからとりあえず一生懸命やってみろ」というアドバイスはある意味的を射ています。
一生懸命やれば結果がついてくるというのもありますが、
何より、一生懸命やっている姿はそれだけで周囲の人から応援してもらえます。
時には助けてくれるでしょう。
それにより道がひらけ、結果を得られるということもあります。
アンダードッグ効果は一生懸命さ、真剣さを伝えれば伝えるほど効果を発揮します。
これを利用すれば周囲のサポートを得られやすくなるかもしれません。
ぜひ意識してみてください。